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すっくと零也は立ち上がった。
「え?れ、零也くん!?怒っちゃったの!?ごめんなさい!」
「怒ってなんかいませんよ?」
返事をしながら零也は小物入れを漁った。
お目当ての物は前に命からもらった小瓶だ。
がさごそと邪魔な物をどかしてみるとそれはすぐに見つかった。散葉の前に正座して小瓶を見せた。
「これって…」
「はい。解魂水です…とはいってもかなり薄めてあるらしいですけど」
「なんでこんなものを?」
「これ、濃度が薄いからある程度は意識を保ったまま使えるらしいんです。だから、散葉さんが望むなら飲んでもいいと思ってるんです」
解魂水、というのは龍族の秘薬で理性によるリミットを外す力があるものだ。
これを使うと零也は甘えん坊になってしまって大変なのだけど散葉たちはこれを好んで使う。
「でも、使ったら散葉さんはもしかしたら僕を嫌いになるかもしれません」
「…へ?そんなことあるわけないよ零也くん」
「…さっき散葉さんは僕に欲がないって言ってましたよね?でもそれは違うんです。ただ…我慢してるだけで本当の僕はもっと汚いんです…。今、お見せします」
零也は小瓶の蓋を開けて、一気に中身を飲み干した。
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