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解魂水が体に染み込むのがわかった。通った場所から火照りが広がってやがて全身に行き渡る。理性のリミッターをはずすと言えばまだマシに聞こえるけれど、零也にとっては正味ただの媚薬だ。
今回はそれを薄めただけ。
「れ、零也くん大丈夫…?」
「はい…なんとか…」
答えた零也はその実、血がにじむ程に強く拳を握っていた。
…どうしよう…キツい…。
「でも苦しそうだよ!ほら、横になろう?」
真剣に心配しているのだろう。中途半端な効果は体にとっては苦痛だったりするのだ。風邪をひいているときは頭痛を感じつつも意識が薄かったりしてだいぶ緩和されているものだ。けれど、薬を飲んで頭痛は引かずに意識だけがはっきりしたらさぞかし辛いことだろう。
散葉はそれを心配していた。
しかし、横にしようと散葉が肩に触れた瞬間───。
「え…?」
零也は体ごと散葉を押し倒した。カッコ良く組み伏せるには少しばかり体格が足りなかった。くすん。
「散葉さん…」
返事がくる前に散葉の胸に手をおいた。びくんと散葉が震える。
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