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一度言葉を切ってから政基は右手を高々と天へ向けた。
その手には箸。
しっかりと握られていた。
「瑠璃波学園第二学年恒例行事、禁肉生活を終了する!バーベキューのスタートだ!食いやがれ野郎ども!」
「「おぉおぉおお!」」
校舎が揺れる程の大声で皆が声をあげ、網で焼かれている肉に襲いかかった。
「わわっ、あやっ、わあっ!」
無理な話しだった。
零也の学年にもなれば周りはだいぶいい体つきになってくる。そんな人達が我先にと進む中を成長についてはだいぶ残念なことになっている零也がお肉を取りに行くなんて無理だったのだ。
「う~…はぁ…」
ため息が漏れた。
…だって男の子だもん…。
零也は散葉に『とってきてあげます!』って言っちゃったもんだから困っていた。
散葉のことだから取れなかったって言えば笑いながら取ってくれる。
でも、なんだか嫌だった。
散葉に取りに行ってもらうのが、ではなくて、取ってもらっている自分が嫌だった。
と、唐突に。
「れ、い、や、くーん!」
だうーんと重量感たっぷりの何かが零也の後頭部を襲った。
語尾にハートマークが付きそうなくらいに甘い声から…いや、この重量感の時点でわかっていた
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