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「ち、散葉さんっ!みんないますから!」
「私の目には零也くんしか写ってないから平気だよ!」
「なんにも平気じゃないです!」
「えへへ、零也くんが頑張ってたからつい抱きしめたくなって…」
ずっと見られてたのか。
そう思うと更に恥ずかしい。
と、散葉が片手で自分を抱きしめているのに零也は気付いた。
「あの…散葉さん?」
「ん?なぁに?」
花見から2ヶ月。
零也も最近は少し甘えるのに慣れてきた。
「ぎゅってしてくれるなら…両手がいいです」
「っ~!最近の零也くんは甘えん坊さんだねっ!可愛い!でもね、抱きしめてあげたいのは山々なんだけど…ほら、片手でお肉持ってるから食べちゃお?」
「ふえ?」
目をやれば散葉はお盆の上に大量の肉を乗せ、ウェイトレスみたいに持っていた。そのまま抱きついていた彼女のバランス感覚ってどうなっているのだろう。
「あ…取ってくれたんですか…」
「ん~…あいつらの騒ぎ方を見てるとどうにも危なそうだったからね。零也くんが後ろに押し出されたのを見てから空間転移でちょちょっと」
空間転移、と言うのは彼女の好んで使う技だ。
妖怪が集まっているこの学校にも例外がいくつかあった。
まずは生徒会。
彼ら…と言うか三人だけなのだけど、退魔師の家計で人間だ。次に散葉。
彼女は学校でも異質な存在である神だ。
そして零也。
人間。以上。
最後に咲夜。
本名を月詠咲夜。正体、年齢が一切不明なため妖怪か人間かすら定かではない。
以上が主だった例外だ。
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