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「でも嬉しかったよ?」
「え?」
「零也くんが取ってきてあげるって言ってくれた時だよ。零也くんが何かを私のためにしようとしてくれたの、凄く嬉しかった」
「…でも…」
「あ~。それ以上私の大好きな人をバカにすると怒っちゃうよ?」
「怒ると…どうなるんですか…?」
「くふふ…ちょっとここじゃあ言えないなぁ…」
じゅるりと涎をすすった音を聞いて零也は肌が粟立つのを感じた。少しして、散葉がくすっと笑ったのを聞いて零也もつられて笑みを漏らした。
「さ、さ、食べよう!冷めちゃうし、あとでいちゃいちゃする時間が減っちゃうもん」
言って、どこから出したのか散葉は割り箸を手渡してきた。とりあえず受け取って割る。
「それにしても政基も好きよねぇ、こういうイベント」
「政基くん、みんなで騒ぐのが好きですからね」
「零也くんも何気に好きでしょ」
「え…まぁ…。一人でいるよりは楽しいですよね」
昔から咲夜といれないときは政基といるか命に構ってもらうしか零也は他人と触れる時間が放課後にはなかった。
だから、一人はあまり好きじゃない。
「そっかぁ…」
「散葉さんはどうですか?」
「私?私はね~…嫌いじゃないけど零也くんと二人きりの方がいいっ!」
「わぁ!」
だいぶ慣れたつもりでいたけれど思いこみだったらしい。
急に抱きつかれるとまだ対応出来ない。
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