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納得したように一人呟く散葉。言われてみれば自分そっくりだ。
「……」
「ご、ごめん零也くん!だからそんなにふくれないで私をキュン死にさせないでぇ!」
なんだキュン死にって。
もう一度ため息をついて、零也は七海を揺すってみた。
「うゅ…?」
七海は薄く目を開いた。
瞳は碧く、輝いている。
のそっと身を起こし、猫のように背伸びをした。
「んー…!」
ふるるっと身を震わせてから、七海は二人を見つめた。
どことなく眠そうなのは彼女の特徴だろうか。
「あ…パパだ…!…ママもいるー…!」
嬉しそうに二人に抱きついて、七海は散葉と零也へ交互に頬ずりをした。
我慢ができなくなるのは、やはら散葉が先だった。
「可愛いっ!」
ばっと抱きしめ、散葉は七海の体を撫でまわした。
「やんっ…ママ…くすぐったいー…!」
「あら、幼い割にちゃんと発育してるわね七海」
「ち、散葉さん!?なにをしてるんですか、だめですよ自分の娘に手を出しちゃ!」
慌てて止めようとした零也に散葉がくすくすと笑った。
その笑みはあきらかに零也をからかっていた。
「やだなぁ零也くんってば。私は七海の服を作ろうとサイズを計ってただけだよ?」
七海から手を離し、散葉は零也にひどく淫靡な笑みを浮かべたまま近づいてきた。
自然な動作で零也の頭を抱いて、散葉は囁いた。
「なにを想像したのかな…?零也くんの、えっち。そういうことは七海がいないときに…ね?」
そんなつもりじゃなかったのに。
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