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まずはルビーとサファイア。
知っている宝石の方がいい気がした。
「集中してくださいね?石だけを見つめて─────、─────」
後半の言葉はわからなかった。目の前には二つの石だけがある。そこから力を吸い出すように、指輪に力を込めた。
「…さすがです、零也さん」
とくん…とくん…。
体に染み渡るかんかくにはいつものような痛みはない。
優しく、深く、体に染み渡る。
と、唐突に咲夜さんに肩を叩かれた。
「そこまでです。いきなり負荷をかけたら零也さんの体が保ちません」
「あぅ…」
「散葉さんのためなんでしょう?…妬けちゃいます。けど、散葉さんだって零也さんが無理をしているのを知ったら悲しみます。自分を責めます…だから…」
咲夜さんは僕のためを思って心配してくれている。そんなの、疑いようがない。
「そう…ですね。すいません、わがまま言って…」
「いえいえ、零也さんのわがままだったら大歓迎なんですけどね、無理はさせられませんから…」
苦笑いをする咲夜さん。…散葉さんもこれくらいなら許してくれる…と思う。
僕は咲夜さんの隣に座って、そのまま抱きしめた。
「ひゃっ…!?」
「ありがとうございます、咲夜さん。わざわざ調べてくれたんですよね。手間をとらせてすいませんでした。感謝…してます」
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