4824人が本棚に入れています
本棚に追加
「おや?そこにいるのは零也かい?」
背後からの突然の呼び声に僕は振り向いた。
「あ…晴さん。どうしたんですか?今日は休みなのに学校にいるなんて」
「図書室に用があってね。君こそ……愚問だったか」
校長室と書かれた札を見て晴さんは笑った。
まぁ、校内放送でなんども呼び出しをくらっているから校長室の常連であることはバレてるんだよね。
「雪山の件、聞いたよ。災難だったね」
呼吸が止まった。
なんで知ってるんだ。
雪山の件、というのは霊山の気脈を何者かがめちゃくちゃにした事件のことだ。
しかし、これを知ってるのはあの事件の時にその場にいた人だけだ。
「ふふっ、独自の情報網があるんだよ。悪用するつもりはない……ただ……」
「ただ…?」
晴さんはいい人だ。それは知っているはずなのに、僕は何故だかこの人のことを警戒していた。
「すまなかった…。助けに行けなかったから…」
「そ、そんな!?晴さんが気にする必要なんてないですよ!」
「……友人のピンチを助けられなかったんだ。気にするのは当然だろう?それとも…まだ友人として僕は認められてなかったかな?」
「……ふふっ。僕は本当に馬鹿ですね。晴さん、あなたは大切な友人ですよ」
「…?なんで君が馬鹿なんだい?」
「こっちの話しです」
疑ってたなんて言えるはずないじゃないですか。
最初のコメントを投稿しよう!