4824人が本棚に入れています
本棚に追加
七海はまだいいとしよう。
無邪気でとても可愛い。
けれど散葉さんは違う。今日はなんだかとてもお洒落で何故かドレスなんて着ている。
なにが普通なのかはわからないけど、散葉さんは今、上の下着をつけてない。つまり今、僕の肩に当たっているのは間に布を一枚しか挟んでいない散葉さんの胸なわけで。
「零也くん…早くぅ…」
「ち、散葉さん!みんないるんですから少し我慢してください」
「だってぇ………」
あれ?なんだか散葉さんの様子がおかしい。ほっぺたが赤くて目が潤んでる。
ふと、七海に目をやると眠たそうな目で見つめ返して、こう言った。
「パパのタンスにねー…?入ってた小瓶…あれ、沙耶お姉ちゃんがママに飲ませてたよー…?」
なんてことを。
僕は心の底から恐怖した。散葉さんといえば、性欲の化身だ。そんな人に解魂水を飲ませた?愚かにもほどがある。
神様が本気になれば、出来ないことなんてない。
この人が本気になってなりふり構わず求めてきたりしたら────。
しかし、事態は僕が思っているのとは別の意味で最悪だった。
「零也くぅん…お願い…私、切ないよぅ…!お願い…お願…い…」
「ちょっ、散葉さん!?な、泣かないでください!」
泣かれた。
まさかの反応だった。まだ強引に押してくれば対応できた。
けれどこんな風に懇願されたらどうしようもない。
最初のコメントを投稿しよう!