4824人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんた、ばかぁ?」
当たり前のようにすごく嫌そうに散葉は蔑んだ。
「なんのヒントもなしにわかるわけないじゃない」
「………ちっ。役にたたない神様ですぅ」
「おいこら、ちょっと表にでなさい」
「ちょっ、二人ともなに急に喧嘩してるんですか!だめですよ、仲良くしないと」
七海を抱っこしてるから散葉をいつもみたいに隣で止めることができない。常に二人に気を配るのは大変なのに。
と、唐突に七海が口を開いた。
「七海、わかったー…!」
「ええと、七海ちゃん?今はとても真剣なお話で…」
「あのねー…?」
咲夜の言葉を遮って、七海は零也の膝の上から降りた。
ちなみに、基本的に七海は零也の膝の上で1日の大半を過ごす。零也好きは母親譲りらしい。
「次は…ここー…!」
七海が指さしたのは星山。
零也と散葉が出会った場所。
「七海、なんでここだって思うの?」
「うんー…パパ、抱っこー…」
「あ、うん」
零也が抱き抱えると、七海は零也に頬ずりした。
「咲夜お姉ちゃん、書くもの持ってるー…?」
「え?はい」
「じゃあ、春町から冬町まで一直線で結んでー…?」
「こうですか?」
「うん。次は冬町から夏町ー…」
「……次は?」
「夏町から町の外ー…!」
「まさか……」
散葉と咲夜の顔が青ざめる。
まだ零也は状況が飲み込めない。
「最後だよー…?町の外から秋町ー…!」
きゅ、と咲夜のペンが動きを止めた。
地図に描き出されたのは広大な敷地で作った星。
咲夜が結界を張るときに宙に描く陣。
魔法陣だった。
最初のコメントを投稿しよう!