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「あ…ぐ…」
ボコボコにした政基を火にかけようとしたところで零也が止めたため、とりあえず政基は一命をとりとめた。
「政基、情けない」
「響…見てたなら助けろよ」
響は政基の彼女だ。
普段はそんな素振りをみせないけれど、聞くところによると二人きりになると響は甘えん坊らしい。
「もうっ、散葉さんはいつもやりすぎですよ?」
「だって私の零也くんに色目を使うから…」
色目って。
そもそも政基は男だし。
「…次からは気をつけてくださいね。さ、今度こそ食べましょ───」
「「うわぁぁぁあ!」」
今度は何!?
零也はまたお預けを食らった。背後でものすごい悲鳴が聞こえたからだ。
この学年に悲鳴をあげさせるのはだいたいが零也の周りの三人なのだ。
つまり、後始末はいつも零也なのだ。
うんざりしながら振り返ると、そこには散葉、命、咲夜の誰の姿もなかった。
「なんです?皆さんは何に悲鳴をあげたのですか?」
「わからない。私たち以外とは珍しいな」
自覚しているならやめてほしいのだけど。
「……うっわぁ…私、すっごいデジャブなんだけど…」
そう呟いた散葉の視線の先には星。
夜空に瞬く光の一つ。
他と明らかに違うのは、それが動いていてこちらに向かってきていることだった。
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