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渇いた笑いを顔に貼りつける政基の胸板に零也は拳をトンと置いた。
「らしくないよ?」
「……」
「僕は君を信じてるんだ。僕が強い?それは散葉さんの力だよ。それに、いつもの政基くんならこう言うね」
精一杯に意地悪な顔をして政基になりきって、零也は言う。
「強くなったな、零也。これなら俺の背中、任せられるなって笑うんだ。僕の親友はそういう人だ」
一瞬だけびっくりした顔をして政基は片手で目を隠す。
しだいに震えだしてくっくっと声が漏れる。
「くくく、くはっはっはっ!なんだ、一本取られたな零也!」
ばしばし肩を叩いて前を向く。クスッと笑い、零也も後につく。
「んじゃあ改めて、俺の背中を任せるぞ親友。その代わりおまえの背中は傷つけさせやしねぇ」
「うん、任せた」
二人、顔を見合わせて同時に吹き出す。
「あはははは!」
「はっはっは!……ところで、俺はあんなに意地悪そうには笑わねぇだろ」
「えー…?あんなんだよ」
「………」
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