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隔てない身分
貴方を全力で幸せにしてやれる
そう思ったら涙が出てくる。
「小十郎?」
心配そうに声をかけてくる。そりゃ29の男がなんの前触れもなく泣き始めたら心配もするだろう。
ただ、手を伸ばし涙を拭ってくれる貴方が持つ優しさに、また涙が出て止まらなくなる。
「一体どうしたんだ?」
お前の涙なんて久しぶり。
悲しいことでもあったか?
いいえ違います。
嬉しくて涙が止まらない。
貴方の笑顔が眩しくて、触れたくても出来なかったあの頃とは違う。今は抱きしめてその体温を感じることが出来る。幸福過ぎて幸福過ぎて、今この手にある温かさが幻なんじゃないかと思うことさえある(離さないように力を込めると上から声が降ってくる)
「きっつい、」
「申し訳ありません」
「思ってないくせに」
「はは」
ぎゅう、と腕の中のあなたの力が強くなる。
"離さねぇ" なんて、貴方が言うと可愛い言葉だ。俺が言えば執着心丸出しで、まぁ、生涯離すつもりは無いし、死んでも離す気はない
「政宗様」
「ん?」
「お慕い申しております。二度と離さない…」
「ククッ…」
お前のそれはホントに"離さない"だからな。
涙が拭われたと思ったらぐあっと髪を引っ張られ、噛 む よ う な (唇から血が出てきたからな)口付けをもらったから、服を剥ぎ取ることで返事をした。
暖かい、あたたかい。
貴方の温もりを離しはしない
(離しはしない、は綺麗な言葉。裏を返せば誰にも触らせたくない誰より醜い独占欲)
終
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