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あの事件からしばらくたった頃、翁の自宅に1人の男がやってきた。
「すみませーん。そちらに杉村義衛さんという方がいらっしゃるとお聞きしたのですが。」
「いかにも杉村義衛は自分のことだが、あんたがこのわしに一体何の用じゃ?」
「あなたが杉村先生ですか、始めてお会いします。私は小樽新聞の記者をしております村田と申します。実はあなたが永倉新八という名前で新撰組に所属していたことを人から聞いて取材協力をお願いしに参った所存でございます。」
「…少し考えさせてくれ。」
(さて、どうするかの…。しかし、これをキッカケに、沢山の人が近藤、土方のことをわかってくれれば、自分の生き長らえた意味も少しはあるだろう…。)
「…そうか、わしで良ければ新撰組のことを何でも聞いてくれ。」
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