プロローグ

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「おじいさん映画楽しかったですね。」 「そうじゃな。しかし、立ち回りはまだまだじゃわい。一度 剣の指導をしてやらんとな。」 こう言って翁は、持っていた杖を刀に見立てて、えいっと振りかざした。 …が年のせいか翁の体が少しふらついた。 「おじいさんもう年なんだから危ないことは止めてくださいね。私の両親がこのことを知ったらどんなに怒ることか…。 それに、これはあくまでも映画なんですから…。」 この言葉に翁は、カンカンに怒った息子夫婦が2人揃って説教する姿を頭に浮かべて、ゾッと身震いした。 「…ったく道男には適わんな~。まあ映画自体はそれなりに楽しめたからあまり贅沢は言うまい。」 「あはは、うちの両親は怒ると凄く怖いですもんね。」 「…確かに。あやつらを怒らせたらわしの体がいくらあってももたん。」 こう言って翁は肩をすくめた。
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