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「…確かその後、おじいさんはそのまま馬車に乗せられて家まで帰られたそうですね。家が薬屋だから早めに薬で治すことができたから良かったものの、あの時は本当に心配しました。」
「息子夫婦からも「だから言わんことはない。お父さんは年を考えずに無茶するんだから。」ってな具合に散々言われたからな。…しかし、あの時はお前たち家族や剣撃部の学生にも、自分勝手な行動でみんなに迷惑をかけてしまった。今でもすまないと思っている。」
翁はその当時のことを思い出して、シュンとなってしまった。
さすがにこのままでは翁が可哀想に思った道男は微笑んで、こう言った。
「もう済んだことだからいいですよ。おじいさんがこの件で凄く反省しているのはうちの親もわかっていますから。」
「そうか、道男有難う。…そうだ。今日は、美味しいものをご馳走するぞ。道男は何がいいんじゃ?」
「そうですね。牛鍋なんてどうですか?」
「そうじゃな。それにするか。」
「はい、楽しみです。」
「それでは今から牛鍋屋に向かうぞ。」
こうして翁と道男は出口に向かった。
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