『あなた』

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私は毎朝、目覚まし時計が鳴る前に目覚める。 今朝も目覚めは良かった。 パチリと目を開けて、伸びをする。枕元の目覚まし時計を止めて、カーテンを開ける。しばらくまだ薄暗い景色を眺めてぼーっとしていた。 ハッと気づき、顔を洗って、急いで制服に着替える。 『あなた』に会いに行く。 少し早足になって、いつも朝食をとるサロンに駆け込むようにしてドアを開けた。瞬間、『あなた』の優しい笑顔に出迎えられる。 目の前には、惚れ惚れとするほど美しい青年が礼儀正しく控えていた。 「おはようございます。お嬢様」 この瞬間の言いようのないほどの幸福を、私は至愛している。
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