星雲の静けさ

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 周りの人影は徐々に少なくなり神社の両端にあった沢山の屋台は次々に閉まっていった。  私達はというと今が深夜な制か右腕にしがみつく美月をかばって石垣に腰をかけていた。  結局あの金魚すくいですくった金魚はデメキンが二匹にヒブナが三匹だった。これは不器用な美月が苦心して手に入れたもので、おかげで金魚すくいの屋台だけで一時間を要し、射的をやっていた時には疲れはてて目がうつろだった。 「ほら、起きて。体が冷えちゃうから帰ろ?」  体を揺さぶり起こそうとするが、少し呻いてよりいっそう強くしがみついただけだった。  正直、寝入っている美月を起こすのにはトラウマがある。以前、放課後に寝ている美月を起こそうとしたら叩かれたのを未だに覚えているのだ。  本人いわく悪夢にうなされていたと言うのだが今回もそうでないと願った。
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