星雲の静けさ

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「そういえば、膝撫でてくれるの美月だけだな」 「そうなの?お父さんは撫でてくれないの?」 「こんな年齢になって親に撫でてもらうわけないだろ」 「それもそうだね」  お互い笑った。 それほど笑える話ではなかったが、心の底から笑った。  昔お互い境遇が似ていてその話で笑ったことがある。思い返してみれば彼女との思い出にはいつも笑顔が含まれている。  なぜここまで笑える自分が不思議なくらいに。  風呂のベルが鳴り響き、風呂が沸いたことをしめした。 「さ、早く入ってきちゃいなよ。私はあとで良いから」 「わかった…ありがとな」 「まったくだよ。乙女より先に入るとか無神経なんだから」 「じゃあ入らない」 「じ、冗談だって…」
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