星雲の静けさ

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 速度の遅いこの鉄の固まりは古く、両側に張り付いている窓は手動式で固定もできる。クーラーなどは装備してないためか後から取り付けたような扇風機が二つ上にあるだけ。必然的に窓を開けて外を眺める形になった。  何故か私は「自然」が好きらしく、これに乗った時は必ず眺めていた。時折線路に突き出た枝が優しく顔をなでる。正直撫でるという言葉が不釣り合いなほど痛い時もあるのだが。  祭りがある神社の最寄り駅はわずか自宅の最寄りから三つ下った駅である。近いとはいえここまでが二十分かかるのだ。故に時刻表は欠かせない。ここにもメリットとデメリットが存在した。  それから約二十分かけて目的地の駅につき改札をでるとベンチに座っていた少女がこちらに気付き、ゆっくり歩み寄った。
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