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唇を離し強く抱きしめる。それに答えるかのように美月は首から背中へ手を移動させた。あたたかい彼女の温もりを感じて急に安堵し、今まで見えないようにしていた不安に襲われた一瞬だった。
「行こ。時間が短くなっちゃう」
「うん、ありがとう」
その言葉に対し笑顔を見せて私から離れた。
そのまま手を握り祭りの会場である神社へ続く夜道を歩いた。
「前、優が言ってた十八番(おはこ)。夜の場合はなんていう感じなの?」
「ん?んー」
「朝は“叫び”昼は“混沌”夕陽は“悲しみ”って言ってたじゃん」
「ああ、それね。十八番って言われたからわかんなかった」
「えー、だってそういう例えが得意じゃん。意味あってるでしょ」
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