一話的なもの

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王様の手紙の内容は単純だった。 『魔王が蘇った。詳しいことは城で説明するから明日城に来い。時間は…』 とかいう感じだった。 はっきり言って嫌だ。はっきり言わなくても嫌だ。 オカンは呑気にあら大変ね、などとほざきやがるし、ガキどもにいたっては兄ちゃんだけずるーい、とか言いやがった。 「あー面倒だ」 しかし王様に呼び出されたんだ。行かなくてはいけまい。 そして次の日 五歳くらいの頃初めて城を見て俺は真っ先に思った。 「でけぇ」 その大きさは今も変わらずでかい。俺の家もこれくらいあればガキからもオカンからも逃げれるな。 そんなことを考えつつ俺はその城に足を踏み入れた。 大丈夫俺は勇者だ。何のお咎めも受けるはずがない。 「あー、君?城の中は許可が無いと入っちゃだめだよ」 面倒臭そうに言われたので、面倒臭そうに適当に返す。 それでも普通に入ろうとした俺にさすがに慌てたようだ。 「君!入っちゃだめだって!分かるかい?」 いや、許可貰ってますからね。 俺を注意してるオッサンは少し頭が禿かけて、太っているオッサンっぽいオッサン。 こんなオッサン居るんだな。 しみじみとそう思ってたら見たことのある姿が見えた。 「あれ…あいつ?」 オッサンの話を無視してそいつに手を振る。 そいつはどうやらこっちに気づいて慌ててやってきた。 「勇くん!ようやく来たんだね!」 そこには俺の幼なじみがいた。 何でこんなところに居るんだ? 幼なじみはニコニコと笑いながら話しかけてきた。 「王様がお待ちですよ」 ああ、こいつ城で働いてるのか。
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