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「暹、そろそろ止めろ。剣輔が泣くぞ」
やめてくださいっ、という剣輔の抗議があがるも暹は撫で続けたため、仕方なく斗鬼が動いた。
斗鬼の言う通り剣輔はもう涙目である。
「ん?
おお、悪いな剣輔」
それに気付いた暹は、すぐに手を離した。
しかし、謝るその顔には悪びれた様子は一切ない。
むしろ、からからと笑っている。
その態度に剣輔は至極悲しそうな顔をした。
「ひどいよ、暹さん。
おれがかわいいって言われるの嫌いだって知ってるのに……」
「……男に美人も可笑しいと思うが」
「いやぁ、カワイイって女っぽいって意味じゃなくて素直でカワイイとかの意味だぞ?」
暹は流石に今にも泣き出さんばかりの剣輔に慌てたように彼に弁明をした。
すると剣輔は先程までの悲しそうな顔が嘘のように、ぱぁっと表情を明るいものに変えた。
「え、そうなんですか?
なぁーんだ、それならよかった」
「女は駄目でも子供はいいのか」
斗鬼は剣輔の言葉に小さく突っ込みを入れては溜め息を吐いた。
その態度から二人のやり取りに嫌気がさしているのが判る。
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