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ザリ、ザリ、ザリ
ある春の夜道を十数人の男達が歩いていた。
「最近、辻斬り多いよな」
「ああ……おちおち一人で歩いてらんねぇよ」
「早く家につかねぇかな……」
皆一様に不安気な言葉を吐いているが、顔はその言葉を裏切り、自信に溢れた表情をしていた。
中には何かを期待するような目をしている者もいる。
『────────』
「え?」
男の一人が立ち止まり、辺りを見渡した。
それに気付いた他の男達はその不可解な行動に眉をひそめ、口々にどうしたと尋ねる。
「いや、何か聞こえたんだけど……」
男は少し困ったようにそう訴えるが、周りはそれを笑って否定した。
どうやら何か聞こえたのはその男だけだったらしい。
「気のせい、気のせい。ほら、置いてくぞ?」
でも、と食い下がる男に手をひらひらと振って、一番前を進んでいた男は再度歩きだした。
それを機に他の男達も歩きだす。
流石に置いていかれたくはないと思い、男も慌てて追いかけた。
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