零ふり

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  「何故私達を殺すのかな?」 「そりゃあお前等に勝たれちゃ困るからだ。当たり前だろ? こんなくだらないことに貴重な一つを使っても良かったのか?」 少年はずっと男を馬鹿にしたような態度を取っている。 もちろん男はそれを感じ取り、徐々に苛ついてきていた。 「最後に、さっき何と言った?」 「は? さっき? えーっと……」 少年は腕を組み思案する様子を見せた。 「さっき……さっき…… ああ! 誰かが『早く家に帰りてぇ』とか何とか言った時か? だったら、『生きとし生ける物全ての家に還してやるよ』って言ったぜ」 少年は無邪気そうな口調で言っているが、その内容は殺すことをほのめかしている。 「さあ、質問も終わったことだし殺るか」 そう言って刀を構える少年。 短時間で十数人の男を斬ったその腕は本物だろう。 今更この男一人に手こずるなんて考えられない。 もちろん男もそれは承知している。 .
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