零ふり

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  しかし 「私は……俺は、まだ死ぬ訳にはいかないんだ!!」 男は懐から銃を取り出し叫んだ。 カチと弾を装填する音がする。 「ほう……銃か。 これまた厄介な代物を出すもんだ」 少年は困ったなと呟きながらもそんな素振りを全く見せない。 むしろ笑っているようにすら見える。 男は雄叫びを上げながら銃を何発も打った。 性能がいいのだろう。その弾は普通の銃で撃つよりも早く、そして回転しながら放たれた。 しかし、それを少年は全てかわしていく。 「おいおい。そんないい銃で撃ったってな、当たんなきゃ意味ないんだぜ? はぁ……もう興が冷めた。終わりだ」 ふと目の前から少年が消えた。 男は慌てて周りを見渡した。 決して少年に隙を見せてはいけない。 「後ろだ」 短く少年の声が聞こえたのと同時に男の胸に灼熱とも言える熱が襲いかかった。 男がギギギと音が立ちそうな様子で自分の胸元を見下ろすと己を貫く刀が見える。 「─────」 男は何かを言おうとしたののか口が微かに動いたが、それは声にならずに消えてしまった。 絶命したのだ。 少年はズッと剣を男から引き抜き血を払った。 ピッと血が地面に飛び散る。 「他愛もない。相変わらず命はあっけなく散るな……」 少年はそう呟くと男達の懐を漁り出した。 「十人以上もいながら、たったの一人だけとは。 薄情なのかお気楽なのか、果たしてどちらだろうな」 少年の手に握られているのは一つの銀色の物体。 それを手に少年は暗い道を歩きだした。 .
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