バアちゃんのなる木

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  急いで家路に着いた私は話しかける。 「バアちゃんただいまぁ。おやつは何?」 手をきちんと洗いながら、首をにょきっと台所に向けながら。 「あら、おかえり明日香。今日は煎餅があるよ」 「え~またぁ…もう飽きたよ。ポテトチップスがいい!」 当然の様に文句をつける。 親は共働きで、学校から帰るとバアちゃんと二時間ほど二人きりになる。 バアちゃんは昔に夫、…つまりじいちゃんを戦場で亡くし女手一つで子供五人を育てあげた。 ふと考える。 バアちゃんって今年で何歳だっけ? 「煎餅ば、かじって歯を強くせんば。そんうち入れ歯になってしまうとぞ」 「まだ歯、あるもん。もうよか食べん」 そう言って私は、ランドセルを手荒に持って勉強机に向かうのだった。  
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