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まるで鬼退治に向かう桃太郎のように、それはそれは勇ましく雄叫びにも似たような声が私の頭の中で響いた。
『痴漢野郎をやっつけろ!』
目を閉じ、息を吸って吐いて、ゆっくりと目を開ける。
生きている実感を噛み締める。
そして、両足の太ももを手で叩く。
予想以上の音が出てしまい、皆の視線を集めてしまった。
勿論、女子高生も痴漢野郎もこちらを見ている。
私はその二人のうちの一人から視線を逸らすことなくゆっくり立ち上がり、そしてその方向へと歩き出した。
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