虹の彼方へ

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  「あ痛っ!」 朝から僕にこんなことをする奴は一人しかいない。 「おはよー春人(ハルト)。今日も猫背になってるよー」 カバンをぶつけたことを謝る気配は全くなく、僕の横に並ぶ。 「……夏月(ナツキ)…お前なぁ…」 「ねぇ何聴いてんの?聴かせて聴かせて」 そう言って僕の了解を得る前に片方のイヤホンを奪う。 「へぇー春人ってこんな曲を聴くんだ。ちょっと意外。てっきり私はアニメの歌かと思ってた」 「失礼な」 この失礼な女・夏月は僕と同年の幼なじみだ。 近所で親同士も仲がよく、本当に小さい頃から知っている。 気が小さくて取り柄のない僕が唯一、話しができる女子だ。 ま、女と意識したことはないけど。  
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