虹の彼方へ

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  「いい歌だね。誰?」 「…Mr.Children」 バスに座って片方ずつイヤホンをつけている。端から見たら完全にカップルに見えるに違いない。 そう思うとやけに恥ずかしくなり僕の声は小さく、ぶっきらぼうになる。 夏月は『ふ~ん』と曖昧な返事をしたあと、指でリズムをとりながら外を見ていた。 だからといって気まずい雰囲気にはならない。長年の付き合いからなのか僕たちにはこういった空間が何度も現れる。 気を使わなくていい、居心地がいいとはこのことなんだなと思う。 ずっとそうやって仲良くこれからも過ごしていくんだと僕は思っていた。  
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