虹の彼方へ

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  「MC」 そう言って夏月は静かに笑う。僕が『ハマー?』と冗談でいうと、あっさり否定された。 「春人が聴いてたでしょ?私も好きになって買ったのよ」 と僕のカバンに入っている同じジャケットのCDを見せた。 そして僕もカバンからCDを取り出して笑う。 「なーんだ。買わなきゃよかった。来るのが遅いよバカ春人」 「悪い……って何で俺が謝るんだよ。3日前にも家に行ったんだぞ」 「そうなの?ありがとう」 僕らはしばらく雑談をしながら時間を過ごし、また来るよと言って病室を出た。 そういえば病名を聞くのを忘れたと思い出したのは家に着く寸前だった。  
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