虹の彼方へ

16/22

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
  それは夏月も同じだったらしく僕に唐突な質問を投げ掛けた。 「春人はさ。キスしたことある?」 「はぁ?………ないけど…夏月はあんのかよ…」 「……へぇーないんだ。 私は……あるよ。 ………キスしよっか…」 そう言って僕の了解を得る前に夏月は優しく唇を重ねてきた。 僕のファーストキスは何の味もしない、でも柔らかな感触だった。 「……ゴメンね。春人……私、お嫁さんになれなくて……」 その言葉で僕は幼稚園時代の、僕の一番古い記憶が蘇った。  
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加