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「君…具合悪いの?」
面会時間が過ぎて、夏月の病室を出て誰もいない通路の椅子に座り込んでいた僕に不意に言葉を投げられた。
「……いえ……すいません。すぐ帰ります」
そう言いながら顔を上げると、てっきり看護師さんかと思っていたがそうではなく、作業服にモップ姿の清掃のおばさんだった。
「無理せんごとね」
何だか僕の気持ちを分かっているかのような口調に少し胸が熱くなった。
おばさんの背中に今度は僕が投げ掛ける。
「…あの!
……人を助けるにはどうしたらいいですか?」
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