最悪の出会い

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奈都の中にフツフツと怒りが沸き上がってくる。自然と拳を握り締めていた。 と、そんなことより、なぜ佐々川に繋がるんだ? もちろん昨日の合コンのメンバーに、敵対している織田高の奴なんか入ってる訳がない。 数分考え、奈都の中で出てきた答えは… 「あ!あんた、わ、私を拉致したの?」 「は?お前が酔っ払ってついてきたんだろ?」 「つ、ついて…?」 布団を掴む手に力がはいる。 かすかに震えていた。 「?」 うつ向き、黙りこんだ奈都を不思議に思い、雄人は軽く首を傾げる。 酔っ払って、気が付けば男の部屋。 しかも裸で。それが意味することは……… 「ぎゃーーーーーー!!」 「!?」 女とは思えない叫び声に、さすがの雄人も驚く。 ブン! まだ驚きから立ち直れない雄人目がけて、分厚めの本が飛んできた。 しかもすごいスピードで。 奈都が手近にあった本を投げたのだ。おもいっきり。 突然のことで、避けることが出来ずに雄人の顔面にクリーンヒット。 織田高のボスが、簡単に仰向けに倒れる。当然と言えば、当然かもしれない。奈都がおもいっきり投げつけたのは、英語の辞書だった。しかもケース付きのやつだ。 雄人が倒れた隙に床に脱ぎ捨ててあった服を急いで身に付ける。時間にして、約1分の早業だ。 そのまま鞄を掴み、まだ仰向けのままの雄人を飛び越え部屋を出る。 親は金持ちだと噂で聞いていたが、本当に広い家だ。吹き抜けの造りになっているため、部屋を出ればすぐに玄関が見付かった。 奈都は猪のごとく玄関に向けて突進する。 そのままダッシュで家を飛び出し、叫びながら走り去る。 「ありえねぇ、ありえねぇ!ありえねぇ!!」
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