源高校。

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源高校。

男女共学の公立高校。 敵対校とのケンカはしょっちゅう。 入試で30点取れば入れると言われている馬鹿4大高校の一つ、それが源高校だ。 実際、ケンカ好きも多いが、馬鹿騒ぎが好きな生徒がほとんどだ。 その学校のボスと言われているのが琴平奈都(ことひらなつ)だ。 女で、この源高校のボスになったのは奈都が初めて。 子どもの頃からケンカで負けなし。中学でも、いつの間にか一目置かれる存在になっていた。 本人にその気は全くないのだが、高校になってからは何故かボスと呼ばれている。ケンカとなれば助っ人として呼び出され、敵対校をバンバン蹴散らしていた。 その結果、源校の顔になっていたのだ。 …なぜそうなった? ま、ケンカは好きだからいいけど。 と特に否定しないでいると、回りも奈都のことをボスと呼ぶようになっていた。 そのボスである奈都は、深く落ち込んでいた。 (嘘だ、嘘、嘘!私が、織田校の奴の家で、は、裸で…) 今朝の出来事を、何度も何度も繰り返し思い出してしまう。 悪夢だ。 いや、むしろ夢だったらどんなにいいか…… 気だるげに戸口に立つ男。 何も服を着ていなかった自分。 女と男が一晩一緒にいたのだ。男に無縁の奈都にも、想像がつく。 男と女がすること… 「なっちゃん、昨日の合コンはどうだったの?いい人いた?」 後ろから、幼馴染みの弥矢(みや)が話しかけてきた。 家が近所のため、物心つく前から一緒に遊んだりしている。黒髪にメガネっ子の外見で、あまり目立たないタイプだ。回りからは奈都の子分などと言われているが、奈都にとっては大切な友達の1人だ。 だが、今の奈都には全く聞こえていない。 自分の想像に、体が震え出す。 「なっちゃん?」 「ぎゃーーーーー!!」 「えっ?な、なっちゃん??」 「な、何だ?」 「ボス?どうしたんだ?」 クラス中が、奈都の奇声に驚き、視線が集中する。 再度、弥矢が声をかける。 「な、なっちゃん?大丈夫?」 ガタン!と椅子を後ろに倒し、立ち上がった奈都は、ぐるりと顔をめぐらせる。 「!?」 皆、ビクっとなり、なぜか後ずさる。 視線を外したいが、目をそらした瞬間、殺られそうだ。 奈都から、負のオーラが溢れている。
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