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織田高校。
公立の男子校。
4大馬鹿高校の中では、まだ1番偏差値が高い高校だ。歴史も1番古い。
創立60年を迎えている。
と言っても、馬鹿な学校に変わりはないのだが。ドングリの背比べ。何かが少し上というだけで、優越感に浸る馬鹿なやつもいる。
男子校なため、血の気が多い者もいて、警察沙汰になることも幾度かあった。
そんな学校で、ボスと呼ばれている男がいた。
入学早々、上級生にケンカを売り、しかも勝利した男。
佐々川雄人。
強い奴に従うという掟まである学校なため、入学式当日以来、雄人がボスと言われているのだ。
雄人本人も、その気でケンカをふっかけた。
誰かの下につくなんて、考えられなかったからだ。
そのボスである佐々川雄人はイラついていた。
今朝できたばかりの額の傷は痛むし、カッコ悪いことに青痣になっている。
ちょっとした出来心と親切心で家にあげてやったというのに。あの野郎……
そもそも、自分からついてきたくせに、何故辞書をぶつけられなきゃなんねぇんだ。
「雄人、昨日のことだけど」
小学校からの腐れ縁の、田島光太(たじまこうた)が話しかけてきた。
「あ?」
雄人は不機嫌な声を出す。
「何?どうしたんだよ?」
「別に」
「何もなくないだろ?すっげぇ機嫌悪そうだし。昨日あの後何かあったのか?」
「……」
「あれ?雄人、昨日やりあった時、そんな傷あったっけ?」
光太が額の痣に気付く。
ピクと指が動くが、悟られたくない。というか、そのことに触れるなと目で威圧する。
「…話したくないならいいけど」
光太は素直に引き下がり、雄人の前の席に座る。
いつまでもイラついていても仕方ない。
気持ちを持ち直そうと、一つため息をついてから雄人は光太に視線を向ける。
「で、昨日が何?」
「ああ、昨日ボコった奴らさ、やっぱ豊臣だった」
「そうか」
「奴ら最近、こっちの島まで出ばってきてるからな。どうする?」
「ま、そのうち。目についた奴はやる」
「そんなんでいいのか?」
「今はまだ」
「分かった。おい、お前らもちゃんと聞いたな?」
クラス中の目が雄人に向かっていた。各々自分のことをしながら、耳だけは雄人と光太の会話を聞いていたのだ。
「だけどよ~、最近あいつら調子乗ってるぜ」
「そうだ。そろそろシメようぜ!」
不平不満が飛ぶ。
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