最悪の出会い

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最悪の出会い

頭が痛い…。 割れる程痛いって、こんな感じか? 痛すぎる…。 奈都(ナツ)はゆっくりと目を開いた。 白い天井から電気がぶら下がっている。 窓には濃紺のカーテン。 壁側に机が配置されている。 本棚には難しそうな本がズラリ。奈都には全く意味が分からないタイトルばかりだ。 枕元にも数冊の本が散らばっている。 ……何処だ、ここは。 私の部屋じゃない。 状況がうまく理解出来ない。 奈都は痛む頭をおさえながら、起き上がる。 少し動くだけで、頭に鈍痛が走った。 見たことのない部屋の中にいた。と、ドアが開く。 男が立っている。 「……」 「起きたか」 奈都の頭は完全停止。 入口に立っている男は、見覚えのある顔だった。 クラスの女子が隠し撮り写真を見せあいっこして騒いでいたのを思い出す。 織田高校のボス、佐々川雄人(ユウト)。 整った顔、180センチ以上はあるスラリと伸びた背、切長の目。道ですれちがえば、異性なら間違いなく振り返るだろう容姿。 抱いた女は100人を越える。 泣かした女は星の数。 いい噂を聞いたことがない男。 奈都が通う源(みなもと)高校と敵対している学校の佐々川雄人が、奈都の前に立っている。 これは、どういうことだ?何故、奈都が寝ていた部屋に雄人が堂々と入ってきているのか? 雄人はじっくり奈都を見た後、口を開く。 「とりあえず、服着れば?」 「は?」 意味が分からず、雄人の視線をたどる。 つまりは、自分を見る。 「ーーーっ!!」 奈都は、上半身裸だった。というより、服を何も身に付けずにベッドの中に入っていた。 「な、な、ど、どういうこと!?てめぇ、何した!」 顔を真っ赤にし、慌てて胸を隠す。 今さら遅いのかもしれないが、隠さずにはいられない! 「何って。お前、何も覚えてないのか?」 「はぁ?」 布団で体を必死に隠しながら、なぜこんなことになっているのか考える。 頭がズキズキ痛み、意識が集中できない。 …覚えてない? …何を? なんで、私はここに? 今は、朝。 ……昨日の夜、確か私は… …そうだ。 確か、クラスの女子に無理矢理合コンに誘われて、断わり切れずに行ったんだった。少し顔を出して帰るつもりだった。 定番の自己紹介。 適当に話して、適当に飲んでご飯食べて ……飲んで?? まさか、この頭の痛さ…、私、気付かない内に呑まされたのか?? あの男共!!
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