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「何で、ないのぉ・・・。」
失くしたモノは、母の指輪。いつも母が大事そうに付けていた、婚約指輪だった。
父と母は、結婚式をしなかった。父が渡した母への最後のプレゼントだ。
母の形見がなくなってしまったら、天国の母も父も、喜ばないだろう・・・。
だから、だから失くしたことを悔やんでいた。
知らぬ間に、小一時間はたっただろうか?雪と風が強くなっていた。
ズボンもコートも顔も手も全て泥だらけになっていた。
いまだに、指輪は見つかっていない・・・。もしかしたらもう、見つからないかも知れない。そう思うと少し涙が出た。
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