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『学校なら幽霊がいて当たり前だ。』
レイさんは淡々と言うと、おどけたように肩をすくめた。
『何十年も前から私は作られてきたの。
幽霊なんているわけない。でも、学校にならいてほしい。
そんな思いがゆっくりと積もって、私は生まれた。』
それを聞いて、俺は、何か寂しくなってしまった。
レイさんは確かにいるのに、作った相手に存在を否定されるなんて。
『あなたは、優しいのね。』
まるで俺の思いを読んだように、レイさんは笑っていた。
『私は今、幸せよ?毎日、お勉強したり運動したり、一生懸命に過ごす学生さんを見ているとね、とっても楽しいの。』
俺は納得いかない表情をしていたのか、レイさんはふわりと飛んで俺に近づくと、俺の鼻に人差し指を当てた。
『その気持ちは嬉しいけど、私の気持ちを勝手に決めちゃダメよ?』
そう言って、いたずらっぽく笑うレイさんは綺麗でドキドキした。
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