3人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
「知りたければ明日を待つといいよ。俺はもう行かなくちゃ。」
どこにだよ。
聞く前に、静寂は走り出した。俺が何か言う前に下にあった窓から飛び降りた。
「んだ? あいつ…」
猫の反射神経ならば、たかだか2階から飛び降りても平気だろう。
『飛べるわけないじゃない! 本能は人間なんだから!』
嬢坂の声が頭の中に響いた。
例えどれだけ姿を変えようと、本能は人間のままだった。
「っ!!…静寂ァ!!」
窓の下を見ると、クリーム色の猫が横たわっていた。傷は見えないが、周りをゆっくりと赤に染めていた。
「な…おい…冗談だろ…」
ぐらぐらと揺れる視界の中、クリーム色の猫だけは鮮明に映っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!