3人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
何も覚えていなかった。
何も考えていなかったのかもしれない。
ただ学校へ行き、何も考えず席に座っていた。静寂の席が埋まることはない。そう考えると脳がガンガンと音をたてた。
どうすればいいのかまったくわからなかった。そうやって何も考えずいると、肩を叩かれた。
虎鉄だと思った。反応したくなかった。何もしたくなかったのかもしれない。
“すべて話します”
聞こえた声は、虎鉄でも準でも、嬢坂でもなかった。
振り返ると、この世の爽やか代表としていけそうな男が立っていた。
「…し…じま…」
唇に指を当てて、静寂は何の怪我もなくそこに立っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!