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「あら? どこ行くのしんちゃん?」
玄関に走る俺を見て、母さんはそう声をかけた。
「あー…ちょっと。」
母さんは、ニヤリと笑うと親指を立てた。
「ばっちり奪ってきなさい!」
いったい、何と勘違いしてるのだろうか。
「やるからには勝つのよ! 死んでもいいから負けるのだけは許さないから!」
あれか。最近はまっている極道ものの昼ドラか。
ならば、乗るのが男というものだ。
「勝つさ。俺には負けられない理由があるんでね。」
臭い言葉だと思う。決め台詞には少し長いだろう。
それでも、今の俺にはそのくらいがちょうどいい。
靴を履くと、夜の帳に走りだした。
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