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「だからあなたは早く帰ってゲームの続きでも…あ」
静寂がまだ話している途中で、深夜はその姿を消した。テレポートの魔法だった。
静寂が嬢坂を助けないのは簡単なことだった。それは彼のプログラミングに含まれていない。
fyjw01と銘打たれた鍵谷静寂に存在するのは、“ファナティックである織地深夜を守る”だけだ。
深夜が走るならば鍵谷静寂もそれに従う。深夜が死ぬならばこのたった25万円の命を投げ捨ててでも助ける。
そのために、fyjw01は小さい息を吐いた。
「せめて、俺が行くまでは死なないでくださいね…」
自らの命を捨てることはどうでもいい。だが、15歳の人間サイズの粗大ゴミは処理が面倒なのだ。
そんなことを考えながら、静寂は夜のアスファルトを蹴った。
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