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「……え…?」
それが何でどうなっているのか理解する暇を与えず、それは嬢坂へとまっすぐに走りだした。
「っ!!」
横へ跳んだ。耳元を風がかすめ、嬢坂の机の足が1本だけ宙に舞った。
「おや? 意外と動ける?」
その声は高校生の容姿に似合わず幼かった。嬢坂は冷静に周りを見た。
わけのわからん奴は前の扉、後ろの扉には鍵がかかっているから開けてる間にやられる。ここは3階だから窓も無理。
自分で考えて、絶望的だと笑ってみせた。ファンタジーなことには馬鹿のせいで慣れている。
逃げられないなら、嬢坂に取る道は一つだ。
飛んだ机の足を拾うと、得体の知れないその男に向けた。
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