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静寂は、シェルターの魔法を使いながら、相手の詩を思い出していた。
「マクベス…シェイクスピアの四大悲劇の一つですか…」
暗唱していた詩も、その悲劇の一節だ。
「なんだ。意外に博識な人形だね。スラブさん?」
久々に商品名で呼ばれ、静寂は苦笑をこぼした。
「聞いたことあるよ。製造過程のバグで発生した、サウズの人形さん。」
へえ、と素直に驚嘆の息をこぼした。そこまで有名であるつもりはなかった。
「偶然にもいいほうに壊れた欠陥品だろ? 聞いた時は笑ったからよく覚えているよ。楽しませてくれてありがとう。」
「それはどういたしまして。」
シェルターの魔法は、もう限界が近づいていた。これだけ持ちこたえたら勲章ものだが、深夜の魔法はまだだろうか。
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