第3話:重いドアの先

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233号室。 それが僕に割り振られた部屋の番号だ。部屋に入り、僕1人じゃ大きすぎるベッドに、荷物を起き、腰掛ける。 ようやく一息つくことが出来た。電車を乗り継ぎに継ぐ乗り継ぎ、そしてバス。 酔いやすい体質の僕にとっては地獄巡りみたいなもんだ。しかもこの後、更に船旅だ。僕の体、持つのかな? ポ―――――ン 『まもなく、当旅客船は出航至します。大きく揺れる場合が御座いますので、乗客の皆様はご注意下さい。 まもなく、当旅客船は……』 ザザザというノイズが所々に紛れ込んだ機内アナウンスが聞こえてくる。 揺れ、か。なんだか段々不安になってきた。吐くのだけは嫌だな。自分自身気持ち悪いし、健にもバカにされる。 そういや、健も坂村さんも何してるんだろ。行ってみようかな。 そう思って立ち上がった、その時だった。 コンコンッ 室内に響く乾いたノック音。間違い無く僕の部屋のドアを叩いている。 「悠輔。俺だよ」 長年親友として付き合ってきたんだ。声ですぐ分かる。 ノックしたのは健だった。    
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