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意地の悪い顔を僕に見せつけながら、健が続ける。
「俺はてっきり加奈崎さん狙いだと思ってたんだがな。まだまだ洞察眼は未熟かな?」
いや、当たってるよ。すげぇな、お前の洞察眼。
「まぁ、そういうことなら任せとけ。俺がバッチリサポートしてやる。そのために誘ったんだろ?」
あぁ、そうだよ。健に協力して貰いたかったさ。相手が加奈崎さんだったらな。
バンバンと背中を叩きながら笑う健。僕は、それを見て溜め息混じりのため息を吐いた。
まぁいいさ。勘違いしてるなら、それはまた面白い。都合も良いし、健にとってもサプライズだ。
そこまで考えた時だった。
ガクンっ!
突然部屋が、いや、船全体が下に下がったように感じた。
揺れる部屋。
衝撃で思わずよろけ後ろに倒れる僕。
支えもせずに僕をヒョイとかわす健。
くそぅ、薄情物め。
「あだっ」
「鈍いなぁ、さっきの放送ちゃんと聞いてたかぁ?」
からかうような声だった。悔しさがこみ上げてくる。
なんだかんだ言いながら、健は手を差し伸べてくれた。僕もそれを握り、引き上げて貰う。その時だった。
「ねぇねぇ2人共!船内見て回ろうよ!!」
勢い良くドアを開け、坂村さんが入ってきた。ノックをしようよ坂村さん。
僕がそう願ってるなどつゆ知らず、坂村さんは握りあった僕らの手をまじまじと見つめ、一言。
「……ボーイズラブ?」
坂村さんの天然もいい加減にしてほしい。
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