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「ハンカチ、かな」
「ハンカチ、だね」
「どうみてもハンカチだろ」
健のでも坂村さんのでも違う、と言うことは、誰かの落とし物だろうか。
だとしたらこれの落とし主を探すのはかなり困難だろう。僕らは旅船に乗っているんだ。船の乗組員を含めれば、200人はいるだろう。その中から1人?無理だ。僕ら3人だけじゃ見つかりっこない。
やはりここは、船員さんに届けるべきだろう。でも、財布や貴金属類ならともかく、ハンカチの落とし物を届けるなんて、まるで50円を交番に届ける小学生みたいで、なんだか恥ずかしい。
「とりあえず、元の場所に置いとけよ。落とした奴が気付いて取りに来るだろ」
これは健の意見。むぅ、確かに。
「それ、なにか大事なものかも知れないよ。船員さんに届けた方が良いと思うな」
で、コレが坂村さんの意見。
どっちも筋が通っている。どうするべきやら。
「ん~、まぁとりあえず持っておくよ。他の人が間違えて持っていくかもしれないし、明日もう一回ここにきて、落とし主がいれば渡せばいいし、いなかったら船員さんに届ければいい」
なにもハンカチ一枚でそれほど急いだりはしないだろう。
坂村さんも健も、それに賛成してくれた。
「うし、じゃあ次はどこに行く?」
「あ、この船、ゲームセンターが設置されてるんだって!行ってみない?」
「お、いいね。ゲセンなんて久々だよ」
「うし、じゃ、決定!」
こうして、僕らはその甲板を後にした。
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