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ちなみにその気になるあの子とは、クラスメートの加奈崎 詩織さんの事である。高校に入学して初めて喋ったのが加奈崎さんだった。偶然彼女の席が僕の前だったんだ。
初めて見た時の加奈崎さんはなんだか妙にオロオロしていた。おとなしめな性格だし、後から聞いたところだと、中学の時の友達みんなと別のクラスになってしまい、なんだか不安だったらしい。
あまりにオロオロしていたため、前からドンドン流れてくるプリントを壮大に床にぶちまけてしまっていた。加奈崎さんはオロオロと半泣きになりかけながら散らかったプリントを1枚1枚集めていた。周りからクスクスと笑いが聞こえてきた。
こういう時男ってのは無駄に良心が働くよう出来ている。僕もそうだった。
「手伝うよ」
「えっ…?あっ……」
加奈崎さんのしどろもどろっぷりは凄かった。混乱が混乱を招いており、彼女の手はほとんど動いていなかったような気がする。
その日の放課後、僕は加奈崎さんにお礼を言われた。
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