43人が本棚に入れています
本棚に追加
「おー!それだよそれ」
その束を見た悠太が半ば嬉しそうにそう言った。
それに続き和也が、
「なぁアキラ…やっぱりそれって…」
「あぁ…春休み中ずっと放置していたから全くやってない」
「だよな…」
もはや何も言えないのか、和也は呆れた様子で額に手をあてていた。
まぁ呆れられるのも無理ないかもな…
「ドンマイだなアキラ!それ提出しないと今日は帰れないみたいだぞ?」
「はぁ!?なんだよそれ!」
悠太からされた死刑宣告に、俺は思い切り問い詰めた。
「それも、春休み前に先生が言ってただろ?」
「マジかよ…」
俺が絶望していると、悠太が勝ち誇った表情で、
「ちなみに俺は昨日、和也から宿題を借りて写したからモーマンタイさ」
「なんだとっ!?お前裏切るのかよ!?」
「フッ…忘れているお前が悪いのさ」
と、悠太が言った瞬間に、なにやら“ゴツン”という鈍い音が聞こえた。
気付けば、悠太の脳天には和也の拳骨が振り下ろされていた。
「いってー!いきなり何すんだよ和也!」
「俺のを写したお前が言えることじゃないのに言ったからつい…」
「ついってなんだよ!?」
…まぁなにわともあれ、これが俺の日常…
彼女が居ない暦16年の俺には、デートをする彼女も居ないので、物足りなく感じるかもしれないが、今の俺にはこれで十分なんだ。
「そういやアキラ、宿題はどうするんだ?」
「………あ」
和也のその一言で、俺は再び絶望するのであった…
最初のコメントを投稿しよう!